はじめまして漫画家アシスタント歴17年のハルマキと申します。
今回は漫画家アシスタントって何?どうやってなるの?具体的にどんな事するの?ってことを語っていきます。
あくまで僕のパターンなので、「おっ、じゃあその通りにやったらアシスタントになれるんだ、よしっ!」で上手くいくなんてことは無いです(笑)
漫画家アシスタントってどんな仕事?
簡単に言えば漫画家の先生の作画のお手伝いをする仕事です。
週刊漫画雑誌の場合だいたい毎週18ページだとしてこういうサイクルで動きます。
- 先生がノートにネーム(こういう話をするってラフなコマを割った下描き)を描いて編集者さんと打ち合わせ。OK出たら2へ
- 作画 原稿に下描き
- ペン入れ
- 仕上げ
- 完成原稿を編集者さんに渡す。1へ戻る次の話のネームへ
このうちアシスタントが関わるのは2、3、4です。週刊漫画家さんは話を考え、作画をするのでよっぽど作画の早い人でないと1人で毎週の締め切りに間に合わすのは大変です。
なのでアシスタントは少しでも先生の作画が早く終わるようお手伝いする仕事です。

ちなみに先生によって「ネームが異様に早いけど作画に時間がかかる」、「ネームが異様に遅いけど作画が異様に早い」「どっちも早い」「どっちも遅い」(笑)人がいてはるで。
具体的にどんな仕事?
今の時代
- 「下描きから仕上げまで完全アナログ」
- 「下描きはアナログ、パソコンに原稿取り込んで仕上げはデジタル」
- 「下描きも仕上げも完全デジタル」
の仕事場に分かれてます。
僕は完全アナログの仕事場でした。なので大まかにどういう仕事をしてたかというと
- 先生に背景のイメージを伝えてもらい鉛筆で背景の下描き→OKもらってペン入れ
- キャラクターも背景も描き終わった原稿を消しゴムかけ、髪の毛や服にベタ(黒く塗る)を入れる。
- スピード線、集中線を入れる
- 「ドカッ」「バキッ」などの擬態語を入れる
- トーン貼り、はみ出しなどの修正
背景に関しては、建物や自然風景だけにかかわらずモブ(主要キャラ以外の人物)、乗り物、破壊シーン、爆発なんてものアシスタントの仕事でした。
特にうちの仕事場はアクション漫画で派手なシーンも多かったので、戦車や戦闘機、軍隊や化け物の大群などありとあらゆる物を描かせてもらいました。

それこそ舞台も現代日本から大正時代、アラビアンナイトの世界、1800年代のロンドン、宇宙ステーション、水だらけの惑星なんてのも描いたよ(笑)
今web漫画も増えてきたので完全デジタル作画の仕事場は増えていってます。
僕の仕事場は先生を含め4〜5人のアシスタントが机を向かい合わせて作画してましたが、デジタルになると1つの仕事場に集まって作画というよりそれぞれの部屋でリモートで作画ってとこもあるみたいです。
先生が作画データをアシスタントのパソコンに送って、ズームやチャットで指示出して最後にデータを合わせて編集者さんに送るって時代です。凄すぎる。

地方で漫画家やってる人はその方がアシスタントを見つけやすいかもせえへんな〜
で、どうやってなるの?
ではそのアシスタントにはどうやってなるのって話ですが。色んなパターンがあります。僕の場合
- 漫画を雑誌に投稿
- 賞を取って担当編集者がつく
- その編集者の担当してる漫画家さんに試しでアシスタントに入る
- 合格して正式なアシスタントに
って感じです。1度有名な先生のアシスタントに試しに入って落ちましたが、運よく別の先生に拾っていただき17年お世話になりました。
もし担当編集者さんがいるのなら積極的に「アシスタントの仕事をしてみたい」って言うのも良いですし、好きな漫画家さんがいるなら伝えておけば、もしその先生が運よく募集してたら紹介してもらえるかも知れません。
絶対賞を取らないとダメってことは無いです「おっ、こいつ今は下手でも見所あるな。」って原稿見た編集さんが修行の為にアシスタントをやらせてみたいって紹介パターンもあります。
それに僕の時はSNSがそんなに発展してなかったので今ならネットで直接募集してる漫画家さんもいるでしょうし、「アシスタントになりたい人」と「アシスタントを探してる漫画家」を結びつけるサービスとかもあります。

そうそう僕の知り合いの漫画家さんは専門学校時代の友達にアシスタントに頼んでる人もいるよ。
中には奥さんに手伝ってもらってるって先生の話も聞いたね。
何の為にアシスタントをするのか
世の中には色んな思いを持ったアシスタントさんがいると思います。
プロアシスタントとしてやっていく決意をした人、連載したものの上手くいかずアシスタントに戻った人、その先生が好きで作品を一緒に作り上げるのを生きがいとする人・・・
僕は週刊漫画家のアシスタントとして17年やって来ました。
4日半の泊まり込みの仕事で休日は自分の漫画を描き編集者さんと打ち合わせを重ね、いずれは連載を持ち漫画家として独り立ちするためにアシスタントをしてました。
僕の情熱が足らず残念ながらその夢はいまだに叶ってはいませんが、「どうやったら面白い漫画を描けるのか」「人を楽しませるにはどうするのか」「そもそも面白いとは何か?」を学ばせてもらえたアシスタントという仕事はものすごく勉強になりました。
今回アシスタントについて語って来ましたが仕事場によって全然違うのであくまで僕の知ってる範囲で語らせてもらいました。少しでも参考になったら嬉しいです!
「わたしアシスタント目指してるんですけど、コレってどうなんですか?」
「わたしの仕事場ではこんな感じでやってました」
などコメント欄に書いて頂けたら僕は飛び上がって喜びますので是非〜(笑)
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