はじめまして漫画家アシスタント歴17年のハルマキともうします。僕はその17年間で9本の読み切り作品を掲載させてもらいました。そのうち7作品がギャグ漫画で、残り2作は完全なバトル漫画。
初めて描いたバトル漫画は掲載まで5年もの期間がかかってしまいました。そして今回紹介する僕の最後の読み切り作品も4年の期間が空いてます。
かかりすぎだろ!その通りです(笑)
だけど僕はこの作品で本気で連載を狙ってました。それぐらい好きな物を詰め込んだ作品だし、いまだにいいものが描けたと満足してます。
と言うわけで僕の最後の読み切り作品がどんなだったのかぜひ興味ある方、そして最後に全部の読み切りを振り返ってこれから漫画家を目指す人に伝えたい思いがあるのでぜひ読んでください。
「傘男と花柄」 2016年 少年サンデーS

舞台は1924年魔都上海 花柄の着物を羽織った殺し屋「ライセイ」はこの街を心の底から憎んでいた。子供の頃飢えて死の淵にいる母を助けてもらえず、彼自身人間としてまともに扱ってもらえなかったからだ。
そして殺し屋に拾われ育ったライセイは、仕事である施設に乗り込む。そこは大世界(ダスカ)と呼ばれる表向きは娯楽施設だが、上海の裏家業を仕切ってる組織の根城で。
人身売買で売られる多くの人質もそこで監禁されていた。
何十人もの護衛を拳一つで倒すライセイは、もう1人ダスカで暴れる黒傘を持った探偵の日本人と出会う。
「傘男」と呼ばれるその男は、実はライセイの纏う花柄の着物に関わる深い過去があった・・・


1920年台の華やかさも怪しさも持つ上海、クールな中国拳法の達人、肉弾のバトル、男同士の友情、人間ドラマ。自分が好きな物全部ぶち込んだ作品です。


この世界観を舞台に「アルビノで日光に弱くいつも傘をさしてる日本人の探偵」と「花柄の着物を羽織ったクールな中国武術の達人」のコンビで、毎回上海の暗黒社会に潜む奇人変人や武術の達人、怪しい宗教団体などと戦う連載漫画が描けたらと思ってましたが。なかなかうまく行きませんでした(汗)
悔しい部分もありますが、本当に好きなものを描けてそれが表に出せたことに満足です。
僕はこの作品を最後に少年サンデーを離れ、週刊モーニングで連載を目指すため舞台を移します。そこで賞を頂いた作品もこの時代の上海が舞台で、この時調べた事が役に立ってます。
考えるより先に手を動かせ
17年間で9本は本当に少ない方だと思います。新人にとって読み切りとは連載を勝ち取るために描くもので、コレだけかかって結局連載を取れなかったのは自分の実力不足です。そして絶対に漫画家になってやるぞって本気度が足りませんでした。
ギャグ漫画から始まって、コメディ、そしてバトル漫画。ジャンルの変化はありましたが1つ1つはその時本当に悩み抜いて、その時本当に描きたいものを描きましたがただ悩みすぎ時間がかかりすぎです。
仕事場の先生にも何度も言われました「考えるより先に手を動かせ」「回転率を上げろ」
回転率とはネーム(漫画の下描き)を編集者さんに持っていく頻度と回数、これをとにかく上げろと。それが連載の近道だと。
一つのネームに時間かかりすぎると持っていくのが段々と怖くなっていくんですね、こんだけ時間かかったのにダメ出しされたらどうしよう。だからもっと完璧なものできたら持っていこう。
そうやってズルズル時間かかって持っていく間隔が空くんですね。僕がそうでした。ずっと言われていたのに出来なかった、それが本気で漫画家になろうとする覚悟が足りなかったと思うとこです。
最後にお前になんて言われたくないと思われるでしょうが一言だけアドバイスさせて下さい。悩む気持ちは痛いほど分かります。だけど漫画家になりたい方は
「完璧を目指してひたすら悩み時間かかるより、7割の完成度で早く持っていって相手の感想を聞く」
この考えで少しでも回転率を上げて頑張ってください。
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